「NIPPONIA 出雲平田 木綿街道」は、昔と今の暮らしが混在する木綿街道にあります。約250年の歴史を持つ「旧石橋酒造」の建物を活かし、その魅力を存分に体感していただける6つの客室とダイニングに改修しています。基本構造や建材、建具などはできる限り残しながら、所々に新たなしつらえや必要な設備を納め、蔵元の暮らしを感じられる個性豊かな空間に仕上げました。
「旧石橋酒造」は平田で代々地主を務めていた石橋家の本家(本石橋)の三代目・長右衛門が酒造を営むために分家し、宝暦元年(1751年)に創業した蔵元と言われています。石橋本家に軒を連ねる旧石橋酒造(酒石橋)は、本家ともども天明三年(1781年)の大火を逃れた平田・新町に残る最古の町家であり、耐火性の強い塗家造りを採用していた故の延命だったと推測されます。この古式ゆかしい建物をそのまま残し、さらに旧石橋酒造の歴史や暮らしぶりを感じてもらえるように空間を改修し、客室には酒造りにちなんだ名前をつけました。
一軒家のようにゆっくり過ごせるメゾネットルームは「蔵元」、日本庭園を一望する二間続きの部屋は「杜氏」、書斎を併設する二階部屋は「頭(かしら)」と名づけました。さらに、中庭を望む洋の趣の部屋は「麹屋」、居心地のよい和の風情漂う部屋は「酛屋」、ロフト型の吹き抜けになった部屋は「道具廻」と名づけています。
これらの部屋は広さも趣も異なり、さまざまなしつらえで彩りを添えています。全室に寝室を設け、ベッドサイドにはイタリア・ムラーノ島で作られたベネチアンガラスを配しています。北欧ヴィンテージや有名デザイナーの照明器具でモダンな雰囲気を醸し出す部屋、一方では庭園や中庭を設けた和の風情に包まれた部屋もあります。いずれも新旧の建築美としつらえが重なり合う独創的な空間で、お好みや人数に応じてお選びいただけます。