島根県の東部に位置する出雲市平田町は、八岐大蛇退治の舞台となった斐伊川、宍道湖、日本海、北雲北山山系に囲まれた自然豊かな町です。宍道湖につながる平田船川運河の水運に恵まれた平田は古くから市場町として栄え、特に江戸末期から明治初期にかけてはこの地で栽培された「雲州木綿」が高く評価され、多くの船が往来する木綿をはじめとする物資の集散地として発展しました。
平田は1300年代前期に近江商人らによって開拓されて以降、在郷の商人の町、水上交通の拠点として発展しました。戦国時代には今の平田の町の原型ができ、袋小路を意味する「袋町」という町名や、川を利用して城下町の堀川のように町をぐるりと囲んだ形態は、そのなごりと言われています。
江戸時代には松江に続く大きな町となり、物資の集散地として発展します。当時の松江藩は米に次いで綿花や砂鉄が重要な収入源であり、平田は大阪で評判を得た「雲州木綿」の集散地として賑わい、商人文化の最盛期を迎えます。
今、往時の平田を偲ばせる景観は「木綿街道」のみで、街道内にはおよそ30棟の町家が残っています。
平田は1600年~1700年代で平田湾の埋め立てによって町の東側が陸地化しました。街道はL字の街道で、道幅は狭く、街道筋に平行して平田船川が流れています。
市場町の賑わいを偲ばせる町家は今もそのまま残っており、昔ながらの製法で作り続ける「醤油」「酒」「生姜糖」には伝承された醸造文化や手仕事が多く残り、その素晴らしさを今に伝えています。
また、街道と平田船川の間には物資の搬出入のために作られた小路があり、川に面する家には「かけだし(荷揚場)」と称される階段を設けています。街道の町並みとは違った、水運都市としての町の構造が見て取れ、街道を歩くだけで往時の面影にひたれます。
また、ここ数年の間、古民家を改修したイタリアンの店や作家の工房兼お店をオープンさせるなど、ものづくりをする人たちを巡る楽しさも増えつつあります。
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「酒石橋邸」と呼ばれる「旧石橋酒造」の建物は、かつての町の風情を残す木綿街道にあります。敷地の中には酒蔵を内包し、母屋は造り酒屋として栄えた邸宅をそのまま残す、酒造りと日常の暮らしの両方が感じられる建物です。
木綿街道には、切妻妻入り塗家造りと称されるこの辺り特有の家がおよそ30軒建ち並んでいます。街道に面して間口3間、奥行き17間を基本とし、どれも白壁漆喰で下屋や庇の上部になまこ壁を用いているのが特徴です。
その中の一軒、「旧石橋酒造」は平田で代々地主を務めていた石橋家の本家(本石橋)の三代目・平田長右衛門が酒造業を営むために分家し、宝暦元年(1751年)に創業したと言われています。寛政年間には平田で二番目の酒造高を誇る酒蔵となり、酒造業のほかに地元で栽培されていた木綿を扱う問屋も営んでいました。地酒に対しては熱心に試行錯誤を重ね、代表銘柄である「世界の花」を生み出し、平田の自然や風土に寄り添う酒造りを行っていました。
木綿街道の街並みと旧石橋酒造の建築文化を守るとともに、ここで紡がれた人々の思いや歴史を発展的につなげたいという想いから「NIPPONIA 出雲平田 木綿街道」が誕生しました。
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出雲平田は、八百万(やおよろず)の神が集うとされる出雲大社を擁する島根県の東部に位置する町です。繊維産業を主産業に発展し、それに続くのが米、酒、醤油、菓子といった物産でした。なかでも米は農業の大黒柱とされ、米を主原料とする酒や、醤油といった醸造文化が発展し、出雲地方によい酒、よい醤油を産出してきました。
とりわけ日本酒は出雲が発祥の地と言われており、出雲神話の中にはお酒が多く登場します。なかでも古事記の「スサノオノミコトが八岐大蛇に八塩折(やしおり)の酒を飲ませ、クシナビヒメを救った」という話は有名です。神話が語り継がれてきた島根県は今も酒造りが盛んですが、最盛期は県内に300の蔵元がありました。
木綿街道には昔ながらの製法で作り続ける酒蔵「酒持田本店」があり、醤油蔵は「岡茂一郎商店」「持田醤油店」「加藤醤油」の3軒が残っています。これらの古き蔵のたたずまいや醸造文化は、ここにしかない時間、景色を今に伝え、豊かで独特の食文化を育んでいます。「酒持田本店」では高級酒の原料として開発された島根オリジナルの酒米「佐香錦」を使った伝統的な酒造り、醤油蔵では通常の倍の手間をかけて作る出雲独特の「再仕込み醤油」を仕込み、唯一無二の味を実現しています。
ダイニングの「居酒」は出雲ならではの料理や地酒、食文化を味わっていただけるフルオープンキッチンの食空間です。玄関を入ったところに昔からある土間や吹き抜けをそのまま生かし、中央には酒蔵に残っていた大きな木樽、ダイニングには平田にある家具&雑貨ショップ「リュウノス ファニチャー」のテーブルと徳島の「宮崎椅子製作所」の椅子、フィンランドのデザイナー・アルヴァ・アアルトがデザインした天井照明を配しています。
チェックインの際にはダイニングで地元の生姜糖とお煎茶を味わっていただきます。午後のひとときを過ごす空間、夜は素朴な地元料理と地酒が味わえる居酒屋、朝餉を召し上がっていただくダイニングとして、いろいろにご利用いただけます。地元の人との出会いや温かな交流、新しい平田の魅力を見出すきっかけの場にもなり、今後は地酒の飲み比べや料理とのマリアージュを楽しむイベントなども開催していく予定です。
朝食は、近郊で収穫した新鮮な野菜を主にした10品ほどのおかずや手作りの漬物の盛り合わせ、宍道湖産のシジミ汁と炊き立てのご飯、席に着いてから焼き始めるだし巻き卵など、素朴な中にもこだわりのあるものを味わっていただきます。お米や卵、調味料もほぼ平田のもので、木綿街道に残る3軒の醤油蔵のさしみ醤油や生醤油、ポン酢、酒持田本店の酒粕や麹を用い、料理は地元の女性たちの手づくりです。
水曜の朝餉は、100年続く醤油醸造「持田醤油」の自宅の和室にご案内し、しばし家族の一員になった気分も味わっていただきます。銘々のお膳で供されるのは、ここに暮らすおばあちゃんが作る竹皮で包んだ焼きおにぎり、野菜の煮物やおひたし、島根の特産品のしじみのお味噌汁など、どれも素朴で心温まる料理ばかりです。食事中は食卓のかたわらでおばあちゃんが昔の町の様子や出雲のことを語ってくれ、和気あいあいとした空気に包まれながら過ごすことができます。
平田の歴史は豊かな自然と水運、木綿によって育まれ、商人の隆盛によって繁栄してきました。今も木綿街道には歴史文化遺産と言える豪壮な町家が30軒ほどあり、人々はその中で代々の商いを続け、静かにひっそり暮らしています。L字状の通りには老舗の酒蔵や醤油蔵、和菓子店が軒を連ね、散策しながら古き町並みを楽しめます。
それぞれのお店ではさまざまな体験メニューを用意しており、滞在中は、歴史ある老舗の主人や街道に暮らす人たちと交流を深めながら、平田独自の文化やものづくりを体感することができます。街道沿いには町家を改装した手作りの装丁本のお店やオーガニックのイタリア料理店もあって、過ごし方や楽しみ方の幅は広がりつつあります。
「來間屋生姜糖本舗」では、本店でしか味わえない出来立ての生姜糖を試食や生姜糖のパッケージつくりの体験ができます。生姜糖板を割って一口サイズにしたものを包み、自分で詰め合わせたものを持ち帰れます。
「酒持田本店」では、築140余年が経つ酒蔵見学や、お店おすすめのお酒の利き酒ができます。蔵元ならではの絞り立てのお酒や飲み比べができ、趣ある文化財の建物の中で、平田の地酒または、出雲の地酒の魅力に触れられます。
「岡茂一郎商店」では、醤油蔵見学や、出雲で欠かせない「さいしこみ醤油(再仕込み醤油)」や出雲の食文化の説明を受け、テイスティングで豊かな醤油文化を体感できます。
老舗に加え、新しいお店での体験メニューもあり、紙の造形作家・吾郷さんのアトリエ兼ショップの「吾郷屋」ではオリジナルノート制作ができ、たくさんの種類の紙から好きなものを選び、自分だけのノートを作り、持ち帰っていただけます。
「トラットリア814」では、体験メニューはありませんが、島根産の旬の食材を余すことなく使った地産地消の料理を満喫できます。前菜、パスタ、魚料理や肉料理、デザートのいずれにも地元の山海の幸をふんだんに使い、シンプルにして味わい深い料理です。その日手に入った食材で作るため持ち味がダイレクトに感じられ、メニューは日ごと替わります。自然派のワイン、自家製のパン、ほっこりとした雰囲気のダイニング、アットホームなサービスにも誘われ、連日通いたくなる木綿街道の食スポットです。
木綿産業をはじめとする平田の商業や歴史文化の発信の場である「木綿街道交流館」の中にある食事処「ごはん屋 棉の花」では、地元の女性たちが出雲の食材を使って作る素朴な料理を気軽な定食で楽しめ、名物の出雲そばもいただけます。
この投稿をInstagramで見るtrattorìa 814 HACHIichiYON(@trattoria814hachiichiyon)がシェアした投稿 - 2020年 1月月29日午前3時07分PST
出雲大社より車で20分程度
1客室1台まで無料駐車場有。いずも縁結び温泉ゆらり第2駐車場内南側「木綿街道ご利用のお客様駐車場」
雲州平田駅にて下車→木綿街道を徒歩10分程度
なし
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